プリント基板のが電子部品の中でも特異な点は、基本的に製品によって変わる一点ものであるという点です。
1点ものであるということは、その基板によって工法や取扱、検査方法が微妙にことなるということです。もちろん標準的な工法、作り方はありますが基板が違えば微妙な作り方の変化は必ず存在しているのです。
そして、基板の工程上、製造において不良が出る可能性が0%と補償することは極めて困難です。したがって、各種検査等を徹底することで世の中に出ていく不良基板を0にしようという工夫が工程を通して多く見られます。
不良にもよくあるパターンが存在しますが、先ほども申し上げたように基板は1点ものです。基板によって工法や条件が変わることは当たり前のことです。ですから、私は不良が出た時にはその不良写真を徹底的に「見る」ことにしています。パット見て過去の経験から“この不良パターンだ“と思いついても、それに縛られず、とにかく見ることに拘ります。20分30分はざらですし、半日くらいかけるときもあります。
同じ文字をずっと見ていると「あれ?こんな文字だったっけな?」と思うことがありますね。ゲシュタルト崩壊と言うそうです。不良写真もゲシュタルト崩壊が起きるまで徹底して見るようにします。そうすると不思議なことに先入観から解放されて不良写真とフラットに向き合うことができます。
不良基板に限らず、ビジネス上で起きる問題では、問題が起きている真の原因=真因を特定してそこに対してアプローチして解決することが重用です。真因を特定するため、知見や経験は当然重要ですが、こと不良基板のように一点一様の製品では、知見を駆使することと同じくらい“先入観に支配されないこと”が重要になります。安易にほかの基板の実績やや経験と結びつけることは危険な可能性もあるのです。
歴史上の尊敬する人物、、、というと迷ってしまいますがチャールズ・ダーウィンは間違いなく候補にあがります。彼のすごさは、「進化論」に有名な「種の期限」を提唱した事自体ではなく、そこに至るまでの合理的な思考プロセスにあるように思います。彼の理屈はひたすらに事実と向き合い、先入観に流されずただ今目の前にある真実をベースに最も合理的な思考を模索するというものです。文字通り鳥肌物の美しい論理が展開される項目がいくつもあり、読むたびに自分がいかに先入観に支配されているかと思い知ることになります。遺伝子工学の進展に代表される科学の進歩により、ダーウィンの進化論にも欠陥が指摘されています。純粋に知識を得るという種類の本ではなくなってきつつありますが、大量の情報や思想の中で生きる現代人は今こそ彼の書籍から思考プロセスを学ぶべきだと思ってしまいます。
ちなみに、個人的にですがダーウィンの真骨頂は「種の期限」ではなく、人にフォーカスした「人間の由来」だと思っています。マイナーな本ですが、私も身を正すための一冊としてよく持ち歩いており、大変おススメです。
不良の話はあまり考えたくはないのですが、ダーウィンのようにぶれずに事実と向き合いたいなという記事でした。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。