本日は少し変わった基板の紹介をしたいと思います。
基板を曲げて利用したい場合、リジッドフレキ等FPCで曲部を中継したり、ハーネスで基板間をつないだりすることが多いかと思います。今回の記事では、利用できるケースは一部限定されますが、これをリジッド基板1枚で実現する基板をご紹介します。
まずは以下の写真をご覧ください。見て分かる通り曲がった状態の基板です。実はこの基板、1枚のリジッド基板なんです。FPCは利用していません。ちなみに写真の基板は、詳細が分からないように該当部分だけをカットした状態になっています。
では、まずこの基板の構造について説明したいと思います。分かりやすく同じ基盤を上部・下部・側面と3つの角度から撮って並べたのが以下の写真です。
上の写真で言うと黄色く見えているのが写真で曲がっていた部分です。
真ん中にある側面図の赤い丸の部分を見て下さい。この部分だけが極端に薄くなっていることが分かります。リジッド基板の一部を、いわゆる“座ぐり”の要領で非常に薄く加工したのがこの基板の正体です。
座ぐり自体は難しい技術ではないので、簡単にできそうに見えますが製造には細かい配慮が必要です。通常のルーターマシンを利用して座ぐりの要領でこの基板を利用しようとすると歩留まりが悪くなったり不良品が出たりしてしまいます。既存の工法を踏襲して挑戦したあるメーカーは歩留まりが悪く、最後には撤退してしまいました。逆に、この加工基板でUL認証を取って量産も流している基板メーカーでは、この加工部分を製造するために制御性の高いルーターマシンを用意し、更にZ軸方向の制御に強いソフトウェアを導入することで量産体制の確立に成功しています。もちろんソルダーレジストも曲げに強いものを利用します。
ただし、この基板には制約条件があります。それは、繰り返しの曲げは出来ないということ、そして曲げられる角度にも制限があります。制約は以下の通りです。
【曲げ可能角度】90度
【曲げ可能回数】1回
【曲げ可能半径】5mm
曲げ可能角度は、同じ加工を複数個所にすれば90度以上の曲げも可能です。曲げは1回きりで固定すればいいような基板であれば、ハーネスやFPCを利用せずにこの基板を利用すると大幅なコストダウンが可能です。
弊社であればアートワーク設計から製造まで満足してご利用いただける製品を調達可能ですので、ご興味がございましたら是非弊社までご連絡いただけますと幸いです。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。