補助金と助成金って同じように使っていますが、実は全然違うものです。今日はそんな話について書いてみたいと思います。
まず管轄が違います。補助金の管轄は経産省で、助成金は厚生労働省です。補助金には選考がありますが、助成金には原則ありません。ついでになりますが、補助金の選考通過率は、ものにもよりますが、国が用意するものは4割前後のものが多いみたいです。もちろんものにより、応募が少なかったりすると合格率が8割を超えるものもあったりします。やはり補助金制度も予算事業なわけですね。助成金については、条件を満たせば原則もらえますが、枠があるケースもあります。補助金の対象は事業そのものに対して、助成金の対象は人です。因みに補助金も助成金も、「法人」が対象と思いがちですが、実は個人事業主が対象のものもあったりします。
この辺のことはよく言われます。ちなみに、補助金や助成金は、企業活動を国が支援する施策ですが、あまねく公平にというわけではありません。補助金も助成金も「知ってるとこだけ使ってね」というのが原則です。自社の活動に近いものがあるかチェックする仕組みは必要かもしれません。補助金も助成金も、何百、下手したら何千というものがありますからね。基本的には自分が所属する自治体の補助金・助成金はチェックした方がいいですね。補助金だけでいうと、「関東経済産業局」が一番データが充実している感じがします。
http://www.kanto.meti.go.jp/chotatsu/hojyokin/index.html
ここからは、私の私見も入りますが、補助金と助成金の経営上の位置づけについて考えてみたいと思います。 まず、そもそも補助金と助成金の管轄組織はどのようなものかということです。経済産業省と厚生労働省の法的な位置づけは以下の通りです。
【経済産業省】
民間の経済活力の向上および対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済および産業の発展,ならびに鉱物資源とエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保をはかること
【厚生労働省】
国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ること
経済産業省は、名前の通り「経済と産業の発展」が目的ですね。対する厚生労働省は。「国民生活の保障・工場 “並びに“ 経済の発展」とあります。経済の発展というところが両者はかぶっていますね。補助金と助成金が同じように見えてしまうのはこういった省庁同士の目的が一部重なっているところにも原因があるのでしょう。ただし、厚生労働省の目的の一番に来るのは「国民」ですから、単なる経済活動だけでなくやはり国民の生活に軸足を置いているものと思われます。経済という言葉が並列で目的化されていますが、これは両輪というよりは経済が発展することで一義的な目的である国民の生活も安定するという主従の関係があるように思います。
こういった違いは補助金と助成金の「選考」の有無という違いにも投影されています。経済産業省の補助金は選考がありますね。今の経済のベースとなっている資本主義らしく、採算性の高いものから投資をするという経済原則に乗っ取り、投資の価値があるものにお金を出しています。一方の助成金は選考なし、国民生活を守る条件をクリアすればあまねく公平にもらえます。社会主義的とまでは言いませんが、やはり補助金と比較するとパブリックな位置づけと言えるでしょう。
こうした前提をベースに、もう少し突っ込んで両者を考えてみます。
経営上、補助金や助成金はどのように考えたらいいのでしょうか?これは、簿記などの仕訳の話ではなく、あくまでも経営をベースとしたときのお金の流れのイメージです。
上記の図は、私が考える補助金と助成金のイメージを図式化したものです。補助金は投資支援が目的です。企業が事業活動をするために必要な補助金の一部を出すことにより、事業が成長し、売り上げも利益も伸びる。結果として税金もアップするという一つのビジネスモデルです。もちろん、税収を上げることが経産省の目的ではないですから、税収増を目的に考えるのは変ですが、経済産業省は経済原則に乗っ取って投資判断をしているのでこんな絵になるわけです。一方の助成金は、経済の発展というお題目があるので利益の増加が全くないようなこの絵は少し極端ですが、社員の生活を守るために企業がする活動の資金を補填するという趣旨のものが多いです。ですから、追加したコストの分を助成金で載せることで利益を守っているという側面が強いと思っています。もちろん、社員を守る企業にいる社員の士気は高いですから、結局のところ利益も上がる傾向にあるのでしょう。
補助金は補助率、といって事業の資金の一定割合を負担するものが多いですが、助成金が定額型といって条件を満たせば無条件にお金がもらえるものもあります。これも上記の絵の考えの違いが制度に現れたところですね。定額型の助成金は「うまくやれば逆ザヤになって儲かる」なんてことが言われることもありますが、個人的には制度の趣旨とはずれていると感じる部分もあります。結果として逆ザヤになることはあるのかもしれませんが、それありきではうまくいかないこともあります。基本的に助成金の対象となる制度には、企業としてなんらかの出資をともないます。これは社員を守るために新たな活動をするための費用で、程度の差こそあれ一定の継続が求められます。単年度では助成金で儲かっても、翌年以降の運用費を考えると単純な黒字ではないということも往々にしてあるわけです。だからこそ、助成金を考える時には社員の環境整備に資することができて、企業としても全体として向上するというイメージをきちんと持ってから獲得に動くのが本論ですね。
いろいろ書いていますが、弊社が補助金や助成金の経験が豊富であるかというと、実はそうでもないので、我々も事業戦略と国や自治体の制度を見つつ、同じベクトルのものがあれば積極的に利用していこうと考えております。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。