基板製造において汚れは最大の敵です。ですから工程では洗浄の工程が随所に設けられています。どうしてってくらい基板は徹底的に洗います。
基板を洗うのにも様々な工夫がされています。まずは基板を洗うための「水」です。折角あらったとしても、きれいな水でなければ水の中の不純物が乾燥時に基板の表面に出てきてしまいます。この様な基板表面に出る印をウォーターマークといいます。通常、プリント基板の洗浄はこのウォーターマークが残らないように不純物のない「純水」を使うので、ウォーターマークが残ることは少ないのですが、それでも微妙な不純物が入ることもあります。このような場合によく利用されるのが吸水ローラーです。文字通りローラー状になっているスポンジで、基板表面の水分を吸い込むことが役割です。この吸水性ローラーですが、水を吹き飛ばすエアナイフ等と並んでよく利用されています。
吸水性ローラーを使えば水分による不良は防げるかというと実はそうではありません。使ったら使ったでローラーの跡が残る場合もありますので注意が必要です。また、吸水性ローラーの表面に水分と一緒に付着した不純物がついてしまい、これが原因で不良となる場合もあります。または、吸水ローラーは連続して利用し続けてしまうと、飽和した状態になってしまうため、それ以上水分を含むことが出来なくなることがあります。こういった状態になると、基板に水分が残ることになり、大変です。例えば、その後の熱化処理において、吸い込み切れなかった吸水性ローラーの水分が原因で、基板が酸化するなどの不良となる恐れがあります。このように微小な不純物や給水限界の問題が存在していますから、吸水性ローラーはこまめにチェックする必要がありますね。手入れのために吸水性ローラーの清掃の規則はきちんと定めて運用しなければなりません。よくあるケースとして、時間単位での清掃をすることがありますがこちらにも落とし穴があります。時間単位での清掃機則だけを基準としていると、工場の稼働率や時間たりの利用頻度が上がった時に、従来問題がなかった清掃ルールを順守していたとしても飽和状態となるおそれがあります。ですから、製造状況を踏まえたうえで最適な製造基準となるよう清掃ルールの整備や運用状況についてコントロールすることが求められる。
ちなみに、吸水ローラーに利用される材料としては大きく2種類のものがあり、それはポリウレタンとPVAスポンジです。どちらも体積の80%程度の水分を吸湿することができます。どちらも利用する上で大きな違いがあるわけではありませんが、PVAスポンジの方が少し注意が必要になります。PVAスポンジは一定以上の吸湿がされているときはいいのですが、乾燥してしまうと硬度が増して吸湿能力が落ちてしまいます。そこで、一定程度水分が吸収されているような状態をキープして利用する必要があります。
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