電源・GNDの配線

こんにちは、設計部の淺原です。

前回は少しだけ基板のことをお話ししましたが、今回は設計について、お話ししたいと思います。

皆さんは過去に自分が設計した基板やデータを見て、「あ、これ自分が設計した基板だ」と分かりますか?
「次から次へと違う設計しているなかで、そんなの覚えてる訳ないでしょ?」という方もいらっしゃるかも知れませんよね。

でも、私は”こだわり”を持って設計していますので、過去のものでも、ほぼ自分の設計だと分かります。
特別な思い入れがあるわけではないのですが、自分の納得の行く設計をすると出来上がりの顔が同じになってくるのです。
かと言って、そのために多くの時間をかける訳ではありません。定められた時間の中で納得のいく形に持っていきます。

それと同じような事ですが、「失敗したこと」についても、覚えています。
さんざん偉そうなことを書いてきていますが、私はこれまでかなり多くの失敗をしてきました。たぶんみなさんより多く。
しかもミスは困ったことに、かなりの確率で精神的に引きずりますよね。

しかし、納得の行く設計や犯したミスの記憶は、絶対に次の設計に活かされると思います。
いえ、活かしていかなければ自身の停滞になります。

「周囲が前に進んでいる以上、停滞は後退と同じ」と指導されたことがありますが、まさにその通りで、日々進化して
行かなければならないのが技術者だと思います。

さて、前置きはさておき、設計そのものについてお話ししましょう。

設計者、特にようやく設計をすこし覚えたくらいの方の話しですが、CADの画面上に縦横無尽に走っているラッツ
(どこからどこまで配線するか?の情報が直線で表示されているもの)を少しでも早くなくそうと、次から次へと
信号線を配線しまくる、という設計の仕方をする方を見かけることがあります。

そういった場合、電源やGNDが後回しになり、最後は無理やりつないでしまう、というお粗末な結果になってしまう事が
あります。
それは両面板でも多層板であっても、同様です。

いくら信号線がきれいに引けても、電源やGNDが不十分な設計をしてしまうと、せっかくの苦労が水の泡です。
もしかしたら、その基板は動くには動くかも知れません。
しかし決して良い設計とは言い難いですね。

信号線をどんどんつなぐのは良いですが、それは電源やGNDの配線が頭にあって、すでに道筋が頭の中で計画されている
場合です。
もしも、頭の中でその計画が立てられないのであれば、予め基幹となる電源やGNDは配線しておくべきです。

クロックに注意しました、等長に注意しました、抵抗値を合わせました、でも電源・GNDは無理くり配線しました、という
設計が良いわけがないのは、だれでも分かると思います、が、なぜか設計しだすと早く信号線をつなごう、と電源・GNDに
注意がいかない人がいるのです。

特別な処理をする信号に注意するのは当然のことながら、電源・GNDの配線も大変重要であることを、改めて認識しながら
設計してください。
どんな設計でも完成したものをみると、何となく良く見えたりする事もありますが、意識した人と、あとから無理くり配線した人では、
その過程の精度は天と地ほどの差があるのですから。

今回も前置きはあったものの、笑いの要素がほとんどなかった事をお詫び申し上げます。(どんな謝罪?)
ありがとうございました。また次回、お会いしましょう。