お久しぶりです、設計部の淺原です。
さて今回は、当社で基板製造のみの依頼を受けた時に、よく見かける「良くない基板製造データ」に
ついて、お話しましょう。
当社の売りの一つに中国工場を持っている、という点がございますが、今なお、中国生産は日本でつくるよりは
お安くできるのが実情です。
それにより、量産基板を中国で製造、というご依頼も頂くのですが、その時にご支給されるガーバーデータに
ついて、是非知っておいて欲しい事があります。
日本製造で、しかも量を作らない基板であれば大きな問題とはなりませんが、中国で製造する、そして量をつくる
と、いう場合において注意して頂きたい事があります。
言葉の壁、これについては日本語で書かれた資料であっても中国生産だからといって、問題にはなりません。
中国基板工場では日本語の出来る方が、皆様の想像よりもはるかに多いのです。
さらに当社では中国スタッフはほぼ全員が日本語ができ、日本人も在中していますのでそれが問題になることは、
ないので、
「中国語できないけど、どうしよう?」という心配はありません。
ではいったいなにが問題なのでしょう?
フォーマット?
いえいえ、それもRS274XでもRS274Dでも、まったく問題ありません。(できれば拡張が良いですが)
これは設計者の方に是非知っておいて頂きたいのですが、CADでDRC(デザインルールチェック)という
ツールを用いて銅箔同士のクリアランスが確保できているか、を必ずチェックしていると思いますが、実は
そこに落とし穴があります。
仮にクリアランス0.1mmまでOKなデータだったとします。
DRCでエラーがないデータであったとして、問題になるのはPADのレジスト開口と異電位のパターンとの
クリアランスです。
海外生産の場合、レジスト印刷のズレは0.1mm程度、と考えてください。
特に指定をすれば±0.05mmでも製造できますが、まったくズレがないデータ、というのは日本でも製造は
出来ません。
それを踏まえて「仮に」とした条件ですが、PADとパターンは0.1mm離れていてもレジスト開口とパターンとの
間隔が0.05mm、または0mm というデータを見かける事があります。
それが何がダメなのか?というと、レジスト開口から隣のパターンが見えてしまう(露銅)ことが起こる可能性が
ある、という点です。
その場合、ちょっとしたゴミでショートしてしまう、実装時にショートしてしまう、など後々の不良要因に
なる事があります。
ですからDRCでエラーが無いデータだから問題ない、と安易に考えてはいけないのです。
自分のところでは試作基板しか作らないから、または設計までの依頼だから、という事もあるかも知れませんが
のちのちそのデータで量産するかもしれない、という事を視野にいれた設計をしなければならない点に注意して
ください。
まぁ、分かっている方には、今さらのお話ですが、もしもご存じない方がこれを読んで頂けたら、次の設計に
是非活かしてください。
今回はお役に立ち、というか常識的なお話だったかも知れませんが、せっかくいい配線をしながら、こういった
ことで不良基板を作ってしまうこともある、ということを再認識して頂ければ幸いです。
今回は横道にそれず申し訳ありません・・・。え?それが普通?
もしかしたら横道期待の方も・・・ないですかね。
では次回こそ横道それつつお話したいと思いますのでお付き合いをお願いします。(どんな宣言orz)
ありがとうございました。